附属研究所
文化ファッション研究機構
人々の生活の営みの根本は「衣食住」にあり、「衣」に関するファッションは生活文化において非常に重要な意義を持っています。文化学園は、そのファッションにおける製作技術・理論、素材、歴史、社会との関わりなどの幅広い分野で、教育と研究の実績を積んでまいりました。ファッションは人文学・社会科学・自然科学の幅広い学問分野が関係する研究対象であるため、文化ファッション研究機構は、文化学園の伝統を踏まえつつ、分野横断的・長期的視点からファッション研究を推進することを目的としています。日本の服飾文化・ファッション産業の振興のために、各研究所を置き、ユニークな研究活動を展開しています。
文化・服装形態機能研究所
教育現場における教材開発と衣服製作に必要な人体計測データを取得するために各種計測機器を設置して、その結果を広く教育やアパレル業界に提供しています。今までに開発されたボディは、日本人青年男女、50歳代女性、シニア女性、他に子供ダミー、青年女性のパンツボディなどがあります。アパレル企業・他大学との共同研究開発も行い、さまざまな成果を上げています。近年は高齢化社会に向け、中高年衣料のための人体計測やそれらを基にした衣服形態の研究や商品開発も進めています。また、健常者だけでなく、全ての人々がファッションを楽しめる環境の構築を目指し、障がい者衣料に関する研究も行っています。
文化・衣環境学研究所
衣服は人間を取り巻く最も身近な環境です。本研究所では、乳児から高齢者にいたるさまざまな人が着る衣服、すなわち、下着からスポーツウェア・ワーキングウェアなど、各種アパレル衣料の快適性・機能性に関する研究・開発を行っています。研究所には4つの人工気候室と人体動態計測室が設備され、各種衣服の素材・構造、その消費科学性能の評価のほか、脳波計・心電計・筋電計・代謝計・血流計・サーモグラフィ等を用いた人間の生理・心理に関する研究や、重心動揺測定、3次元動作分析、衣服圧計測等の装置を用いた人間工学研究を実施しています。その他にも、共焦点レーザー顕微鏡や超音波断層装置、皮膚振動計測装置、アイマークレコーダー等を備え、人間をシュミレーションしたスキンモデルや発汗ロボットの開発による企業との共同研究など、先端的な研究開発を展開しています。
文化・住環境学研究所
研究所の名称である「住環境」とは、住居のみならず人間の生活を成り立たせている環境全般を意味しており、研究所の活動としても異なる領域を横断する学際的な研究を重視しています。現在は「生活環境の向上」ならびに「造形教育手法の開発」をテーマとして、学内外の研究者による共同研究を推進するとともに、若手教員による研究活動の活性化を支援しています。研究成果は、各種の学会での発表のほか、隔年で発行する研究所報『しつらい』にも掲載し、広く社会に公表しています。
また、文部科学省の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の助成を得て、部屋の広さやしつらいを変えられる「居室可変システム」を含む「住環境デザインモデルルーム」を整備しました。「高齢期女性の居場所における収納システムの提案」等、住環境にかかわる学際的な研究を推進する共同研究施設として、今後とも有効利用を図っていきます。
文化・ファッション
テキスタイル研究所
東京・八王子の織物工場を基盤として開所した本研究所は、他で見ることの難しい貴重な設備を有し、日本の織物技術を次世代へ伝えつつ、新しい織物の研究と開発を進めています。また、新旧にわたる幅広い年代のテキスタイル資料を保存しており、教育にも活用されています。当研究所の利用により、テキスタイルを出発点としたデザイン発想や、開発したテキスタイルでのファッションショーの開催などが行われ、テキスタイルでの新たな世界を創出しています。
和装文化研究所
文部科学省「特色ある共同研究拠点の推進事業」において指定を受けた「文化ファッション研究機構」が、共同利用・共同研究拠点として分野横断的な服飾文化の研究を進める中で、「和装文化の研究」を大きな柱のひとつに位置づけました。それを継承する形で、本学が所蔵する研究資料を活用し各方面とも連携しながら、和装の文化的側面から現代ファッションへの応用にわたる多角的な研究を展開しています。また、和装関連の教育や普及活動も行っています。